2012年12月

「弇」の萌え点の3種類目を紹介します。

こちらです。
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(「蓋散歩びと」さん撮影)

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「暁の明星型」の萌え点です。

右側、中央下よりに点が鎮座しております。
この萌え点の場所は、かなり珍しいです。

・「ハンカチ落し型」のように字体の下部ではありません。

・「予想の斜め上型」のように字体の上部でもありません。

右側、やや中央よりに存在しています。
この位置は珍しいのです。

今まで紹介してきた萌え点のほとんどが上部か下部に出現しています。

字画の中にもともとあった点が、別の場所に移動した「移点」の場合でも、
新たに点が加えられた「加点」の場合でも、萌え点は右上か右下に
出現する場合が多いです。
今回のような萌え点は、あまり見る事がありません。
また、絶対数も少ないです。


さて、

地図上の東西南北において、東はおおむね右側に表記されています。
今回の萌え点は、水平に書かれた線の右側に出現しています。
萌え点直下の線は、まるで水平線か地平線のようです。

明け方の東の空に見える金星を「暁(あかつき)の明星」(明けの明星)と言います。
太陽が昇りきってしまうと見えなくなってしまいます。
明け方の短時間だけ見られる星です。

今回の珍しい萌え点は、この「暁の明星」とその出現や印象が非常に重なります。
「暁の明星型」と命名した由縁です。

あまり見ることはありませんが、この萌え点を目にした際には
天球に力強く・はかなくかがやく暁の明星を思い出さずにはいられません。



ちなみに、17-18世紀のオルガン曲に
ブクステフーデ「いかに美しきかな,暁の明星は」という作品があります。
うっとり。

「いかに美しきかな、暁の明星型の萌え点は」


次回は「道」の萌え点を紹介します。

前回にひきつづき、「弇」の萌え点を紹介します。
今回は、「ハンカチ落し型」です。

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空気弇の蓋です。東京都北区の蓋ですが、都内に散見します。
「気」がややこしい字体ですが、旧字(正字)の「氣」です。 萌え点ではありません。

弇の右下にご注目ください。点が多いです。萌え点「ハンカチ落し型」です。

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かなり立派な「ハンカチ落し型」の萌え点です。
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間違いなく意図的にうたれた点です。
何の迷いもありません。すがすがしい。
撥ねの部分にも力が漲っています。 

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斜めからも撮影してみました。
惚れ惚れする萌え点ですね。うっとり。

次回も弇の萌え点を紹介したいと思います。

「弇」の萌え点、「萌え尻尾型」を紹介します。

復習:
「弇」は、「えん」と読みます。
覆う」という意味です。

「制水
弇」のように使われます。制水弁の入っている蓋という意味ですね。
こんなかんじです。
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弇を拡大
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東京都東村山市の制水弇です。
東村山駅周辺で良く見かける蓋です。

さて、それでは本題にはいります。

同じ東村山市の制水弇の蓋です。
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始めに紹介した蓋は右書きの制水弇でしたが、
こちらは左書きの制水弇です。
おそらく、こちらの方が古いのでしょう。
そして、弇に萌え点がついてます。

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右下、9画目にくっついた形で点があります。
「萌え尻尾型」の萌え点です。 

参考:
「弁」の「萌え尻尾型」はこちら
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「枡」の「萌え尻尾型」はこちら
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「萌え尻尾型」は、萌え点におけるひとつの典型といえると思います。 

次回も弇の萌え点を紹介します。
紹介するのは、もうひとつの典型ともいえる「ハンカチ落し型」です。

前回にひきつづき「吐」の萌え点をご紹介します。

北海道の岩見沢駅前にある「泥吐弇」の蓋です。
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写真:駅からマンホールさん ツイッター

haku
右下に点が一つ多い「吐」です。
「ハンカチ落し型」の萌え点です。

弁にもありましたね「ハンカチ落し型」。
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なにか足りない気分になって、つい足してしまったような点です。

萌え点研究はじめに でも書きましたが、
句読点のような役目を字体に反映させると、いきおい右下に点をうちたくなります。
「弁」の萌え点に「ハンカチ落し型」が多い理由の1つだと推察されます。

今回の「吐」の萌え点は、「泥吐弇」の真ん中の文字に出現しています。
末尾の文字以外に萌え点が出現するのは大変珍しいです。
ただよく見ると末尾の3文字目にも萌え点があります。

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弇の字の右下にあるのは「ハンカチ落し型」の萌え点です。

そうです、この蓋には2つの萌え点が存在するのです。

なんと「ハンカチ落し型」の萌え点が2つ。
ああ、声を大にして「泥吐弇」と言いたいのだなぁと感慨深く鑑賞する次第です。

なお、弇とは「えん」と読みます。
「覆う」という意味です。
泥吐
弇→泥吐のカバーといったところでしょうか。

このような字体ですが、



この蓋の
には、


このように「ハンカチ落し型」の萌え点がついてます。

次回はこの弇の萌え点を紹介します。
っていうか、もう紹介しちゃってますね。



前回は、「泥吐枡」という蓋に使われている「枡」 の萌え点を紹介しました。

今回は、「泥吐室」という蓋に使われている「吐」の萌え点を紹介します。

「泥吐枡」、「泥吐室」のどちらも上水道関連の施設で、役割も同じです。
管路に溜まってしまう異物・泥砂などを取り除く設備です。
詳細な差異は、勉強が足りずに把握しておりません。すみません。 

さて、「吐」の萌え点です。
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東京都北区の北本通り東側歩道にある蓋です。

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さらに拡大
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吐の字の右上にあるのが、
「予想の斜め上型」の萌え点です。 

弁の萌え点にもありましたね。
「予想の斜め上型」
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これです。
「弁」の場合は、2画目の点のすぐ右に萌え点が存在するので、
予想の斜め上でありながらも、妙に納得感があります。

しかし、「吐」の場合は、字体の中にいっさいの点が存在していません。
まさに「予想の斜め上」に、どしんと点がうたれています。

意外な事、この上無いです。 
「予想の斜め上型」と命名するにふさわしい萌え点です。


今回紹介した泥吐室の蓋ですが、良く見ると「工水」とあります。

これは「工業用水道」の略です。

もう少し新しいけど、そこそこ古い工水の泥吐室の蓋
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東京都北区神谷の環七陸橋の下にある蓋です。

工業用水道とは、 工場や事業所などに主に給水されている水道です。
地盤沈下の対策として始まった事業です。

工場などでくみあげる地下水の影響で地盤沈下が激しくなったため、
地下水利用抑制のために配水しています。
殺菌等の水処理をしていないので、飲用には用いられません。

東京都では、昭和39年8月に江東地区で給水を開始。
(墨田区、江東区及び荒川区の全域と江戸川区及び足立区の一部)

昭和46年4月には、城北地区でも給水を開始しました。
(北区、板橋区、葛飾区の全域と足立区の大部分)

工業用水の一部を雑用水として、昭和48年度からは雑用用途への供給を開始。
昭和51年度から集合住宅のトイレ洗浄用水としても供給を行っています。

なお、この事業は赤字なので、蓋の更新が捗らず古い蓋が今後も残っていくのではないかと
ひそかに期待しています。

次回は、吐の萌え点をもう1種類 紹介します。

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